成功回避傾向とは?「こんなに幸せすぎて、怖い・・・」ヒロインの抱く感情のメカニズムについて

「あぁ、また運をこんなところで使ってしまった!」

「こんなにうまく行きすぎていて、怖い!」

こんにちは、tikoです。

あなたはこんな風に感じた経験はないでしょうか。

今回は無意識の中に形成される、

「成功回避傾向」

というものについて、またこれによって成功を自ら遠ざけてしまう人間心理のメカニズムについて、心理テストなども交えながら楽しくお話していければと思います。

「成功」を「回避」する・・?

そんな無意識があるのだろうか?と、もしかするとあなたは疑問に思われたかも知れませんね。

誰しも、人生を何かしらの形で成功させたいと願っています。

言い換えれば、幸せを追い求める、ということ。

それを自ら回避しようとする傾向、それが「成功回避傾向」というものです。

呼び名はさまざまあり、「成功回避動機」「成功不安」「成功恐怖」などなど、どれもほぼ同じような意味です。

まずはこの傾向があなたにどの程度存在するのか、それをチェックする簡単な心理テストからやってみましょう。

まず、とある人が今思い描くとおりの成功を手にした、と想像してみて下さい。

それはもうパーフェクトに、現在のあなたが喉から手が出るほどに欲している、考えられる限りの成功を手にしたと仮定してみて下さい。

妄想だけなら誰も傷つけませんので、ぜひ自由に思い描いてみて下さい。笑

そして、

その成功しているある人が、ひとつ新たな局面を迎えることになります。

新章突入・・・というわけです。

その局面とは、どのようなものでしょうか?

・・・というテストです。

もし、誰かが成功したビジョンを思い描くことが難しければ、童話「シンデレラ」の主人公、シンデレラが王子様と結ばれたあとのストーリーを考えてみて下さい。

ぜひ楽しみながら、自由に想像を膨らませてくださいね。

・・・

・・・

思い描けましたでしょうか?

ここから読み取れることは、あなたが成功というものに対して、どの程度引け目を感じているかということです。

つまりそれは、成功回避傾向の強さ。

言い換えると、あなたがどれくらい成功というものを恐れているのか?・・・

まず、①事故や事件に巻き込まれたり、スキャンダル、過去の大きな問題の発覚など、大きく転落するようなストーリーラインを描いた方。

あなたは成功回避傾向が強いです。

なにか大きな失敗をして深く傷つく、ということは少ないですが、「成功する」ということに対して、強い恐れや不安を持っています。

次に、②ある程度想像した地点に根ざした、順当な展開を迎えた方。

あなたは成功回避傾向はそこまで強くありません。

成功というものを先入観なく、フラットに捉えられていますが、その一方で現在から想像した「成功した自分」とのスムーズな繋がりというのも見出だせていない傾向があります。

そして最後に、③そこからさらなる大きな成功を収め、ますます上昇していく未来を描いた方。

あなたは成功回避傾向は弱いと考えられます。

パワーのある野心家で、行動力も実行力もありますが、もしかすると自分の本当に満足する幸福を深く理解することが、不十分である可能性があります。

・・・いかがでしたでしょうか?

単純な回答割合としては、①がもっとも多くなります。

より正確に言えば、女性のほうがより①と回答する比率が支配的になります。

この成功回避傾向は、アメリカのホーナーという心理学者によって、約60年前初めて提唱されました。

人間が何かを達成する方程式は、

達成傾向=(成功達成動機-失敗回避動機)×成功可能性×失敗可能性

と考えられていました(アトキンソンモデルと呼ばれています)が、それだけでは説明できないケースがあるということで、

当時、女性特有の傾向として、この成功回避傾向を組み込むことでうまく説明ができるとしたものです。

なぜ成功を回避しようとするのかというと、

・周囲からのプレッシャーなど、成功したあとの苦労を想像してしまうから

・完璧過ぎる自分だと、周囲から敬遠されてしまうから(可愛がられないから)

・あらかじめ成功したあとの苦労を先回りして用意しておくことで、行動しない根拠になるから

などのような心理からであるとされています。

少女漫画に差し込まれた成功回避傾向

さて、冒頭に挙げた2つのセリフ・・・

「あぁ、また運をこんなところで使ってしまった!」

「こんなにうまく行きすぎていて、怖い!」

これを読んで、なんとなく既視感があるように感じませんでしたか?

実はこれは、少女漫画でよく見る傾向のあるセリフなのです。

少女漫画の王道的なストーリー展開の手法として、日常のなかの小さな成功と、バランスをとるかのように出現するトラブルというものがあります。

典型的な少年漫画的展開である、新しい更に強大な敵が現れるというのとは毛色が全く異なります。

これが実のところ・・・

成功回避傾向を逆手に取って、読者に共感を呼び起こす仕掛けなのです。

少女漫画は、こういった日常のなかに湧き出てくる不安を演出することが、本当に巧みであるとわたしは思います。

だから、

「なんだか不穏だけど、これから何か劇的なトラブルが起こる気がする・・・」

というのを本当に意識させずに、自然に予感させますし、

「このあと一体どうなってしまうんだろう??」

という風に、ドキドキしながら続きを読み進めたくなるのです。

成功回避傾向についての調査はその後、対象者や実施時期を変えて何度も行われた結果、当初言われていた「女性『特有』の傾向」ではなくなってきていますが・・・

依然として、女性に社会的に強く形成されやすい傾向にあります。

そのためマーケティング上、女性週刊誌や少女漫画、昼ドラなどにも同様の手法が使われがちというわけです。

とはいっても、近年のスキャンダルや有名人の逮捕ニュースなど、芸能人が転落するようなニュースが人々の耳目を集めるさまをみると、社会的に多くの人がこの成功回避傾向を持っています。

男女の性差は歴史的な流れを経て、フラットになりつつあることだけ押さえておきましょう。

成功を恐れるな

そして最後にもう一つだけわたしの言いたいこととして、

この記事を読んでくださったあなたには、さきほどの心理テストで①や②ではなく、③を思い描くような方になって欲しいという思いがあります。

無意識のうちに成功を恐れてしまっていては、それだけ無意識の力によって成功を遠ざけてしまうことになりますし、

「あぁ、また運をこんなところで使ってしまった!」

「こんなにうまく行きすぎていて、怖い!」

と考えてしまうと、さらに意識的に自分の運や行動にブレーキを掛けてしまうことになるのです。

だから、こういったセリフをつい言いたくなるような局面に出会ったときも、

「よし、強運の流れがきているぞ、ここからさらに太い運を掴もう!」

「こんなにうまく行くなんて、これからはもっとうまく行くぞ!」

という思考が自然にできるようになれば、それだけ無意識に大きな力を引き出せることになります。

失敗を恐れるな、ではなく、成功を恐れるな、です。

ぜひ、あなたの行動の一助としてくださいね。