孫氏の兵法「戦わずして勝つ」から「戦わないから勝つ」へ。なぜ競争しなければ、勝てるのか?

こんにちは、tikoです。
あなたは「戦わずして勝つ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
古代中国の孫氏という人が提唱した考え方で、彼は集団を指揮して戦を行うことを得意とする軍師だったのですが、彼は残した書物の中で「戦わずして勝つ」ということが最善であると説いています。
兵を動かす専門家が、最後にたどり着いた極致が「兵を動かさないこと」だったというのは逆説的で、面白い点ですよね。
数多のサイエンス・フィクション、ゲームや漫画などの創作でも、倒すべき最大の敵であり、絶望の象徴である魔王が、実は昔はかつての主人公のようで、希望にあふれた過去を持っていることは少なくありません。
ダース・ベイダーも元はジェダイの騎士、魔王オディオも元は勇者、アンチスパイラルも元は螺旋族・・
「範馬刃牙」の愚地克己も、拳法家である彼の最後の到達点は「当てない打撃」だったことを思い出します。
壮大に脱線し始めてしまったので、すこし話を戻して・・・
なぜ戦わずして勝つことが最善なのかといったら、戦うために兵を動かすことによる損害(コスト)が、どうしても発生してしまうからです。
それならば、交渉や諜報によって戦じたいを回避したほうが、大局的に見てコストが少ないということですね。
しかし今は「戦わずして」ではなく、戦わない「から」勝てる時代とも言われています。
・・・??
浮かんだ疑問符は、成長の可能性そのものです。
しっかり咀嚼、解消して気付きを得て、自分の成長につなげていきましょう。
これまでの世界は競争社会
これまでの時代は世界的に、競争社会と言われています。
特に近代の日本はそうで、追い付け追い越せのバリバリの競争社会気質。
近代化においても、世界大戦の時代においても、戦後すらも。
日本は欧米列強に対抗するために、国民全員が一致団結して、国を挙げて競争に参加する必要がありました。
そうしなくてはならない理由は沢山あったけど、一番は国ごと解体されてしまう恐れがあったから。
そのために強固な教育システムを構築し、徹底的な体制で国民を律していきました。
いわゆる「富国強兵」です。
これによって日本は限りなく小さい国土で、資源で、世界に名だたる先進国の一員となったばかりでなく、その教育によって培われた国民性で、ビジネスの世界でも輝かしい成果を上げてきました。
しかし、その資本主義経済のなか、ここ20年の日本は振るわないです。
それはなぜか?理由はほんとうに色々ありますが、根っこの部分でいえることは、
今は、いかに「戦わないか?」を考える時代になったのに、日本はいまだに戦うことに固執しているから
と、言われています。
戦うことよりも大切かも知れないもの
実際、歴史をみていけば分かることですが、たしかにこれまでの世界は「戦わなければ食われる」世界でした。
対個人でも、企業でも、国という大きな関係性においても。
そしてそのルールの中で、日本はほんとうに血のにじむような工夫と努力で、ここまでの戦いを勝ち抜いてきました。
しかし、開国時と同様に忘れてならないのが、相手はルールを変えること、新しく作ってしまうことに関しては天才的と言われる人間たちです。
「これから日本が戦っていかなくてはならないのはサイコパスの集団」というのは、世界を見てきた実力派マーケターの森岡毅さんの言葉です。
そしてまた技術が発展し、人と人の関わり方が変わり「いかに戦わないか?」という新しいルールが生まれました。
モノや知識が満ち足りてきた現在、人は「まだ見たことの無いもの、新しいこと」を求め始めています。
そのために、これまでの競争の中で勝ち抜いてきた「優れたもの」よりも、全く新しい概念、全く見たことのないものに注目が集まるのです。
「近所にない本も通販で届けてくれる本屋さん」を拡張し、ビッグデータとロジスティクス、ネットの力でのし上がったアマゾン。
携帯電話にネットや音楽プレーヤ、ゲームアプリなどを搭載し、おしゃれなイメージとともに瞬く間に世界を席巻したアップル。
「完全自動運転」を謳い、未来的なデザインとポジショニングで群雄割拠の車両市場に超新星のごとく現れたテスラ。
大学内のマッチングサイトを起点に、ステータスとコミュニケーションを中心思想として巧みに利用者を激増させたフェイスブック。
こういった現在の一大企業の歴史を見ていっても、彼らが考えていたことは他と競争することではありません。
取ってきたマーケティングやブランディングまで、数え上げていけばキリがありませんが、元を辿っていけば(抽象化していけば)彼らの行動戦略は、
「いかに他の企業と競争しないか?」
「どうしたら既存市場とズラした全く別の土俵を作れるか?」
という視点から生まれていましたし、これからもそうでしょう。
彼らは、戦わないことが「結果的に」勝てる手段であるということを理解していました。
これからは「戦わないから」勝てる時代なのです。
「彼女には決して負けない」
「なぜなら戦わないから!」
と言い放ったのは、封神演義の太上老君ですが、これが単なる言葉遊びでなくなってしまったことは、今の世の中を見渡してみるとよくわかります。
あなたが情報発信をする立場なのであれば、どうやって他の方と戦わないか、を考えてみましょう。
戦うことを考えすぎると、時にその人の発信には嫉妬や誹謗中傷といった、棘が生まれます。
棘は、突き抜けるのには便利かもしれませんが、めぐりめぐってあなた自身を苦しめる遠因にもなります。
人を呪わば、穴二つ・・・
また、特にそういった立場に限定せずとも、普段の生活の中でもこの思考メソッドは時に非常に強力です。
行き詰まっているなら、「こうげき」「ぼうぎょ」「とくぎ」「じゅもん」の選択肢から一つ戻って、
「にげる」や「どうぐ」を選択してみては??
「たたかう」しか選択がないと、そこからどうにもならない時と場合もあるものです。
冒頭に挙げた中国の軍師、孫氏は、状況に応じて有用な36の計略のことを解説した後で「三十六計逃げるにしかず」と、「面倒なときは逃げるのが一番」という意味合いのことを言ってもいるので、もしかしたらここまで私がお話したことも本質的に分かっていたのかも知れませんね。
日本の教育は団結と競争を目的とした、ソルジャー指向のまま50年、大きく根本的に変化していませんが、それに伴う社会的なひずみ、人々の苦悩などは、ここでは語り尽くせません。
頭と心を柔軟に。
あなたは戦闘民族ではないはずです。
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