【五感に訴えかけるライティング】第三回:感覚的ワードに親しむ

こんにちは、tikoです。
「五感に訴えかけるライティング」第三回です。
今回は、前回調べた自分の感覚をもとに、どのようにライティングに繋げるのかということについてお話していきます。
これを練習していくことで、「あなたに近い感覚を持った人」に反応をしてもらいやすい文章が、作れるようになってきます。
人は無意識に、自分のお気に入りの感覚情報を、優先して取り込んでいるため、
その一次情報をもとに、好みの傾向も、ある程度までは近しいものになってくるのです。
そのため、文章でその「好みの部分」をふんだんに刺激することができれば、あなたに近い感性を持った人が、あなたの文章に魅力を感じてくれる可能性も高くなります。
人が人に惹かれる要素は、取り扱うテーマや人柄、背景、目的など多岐にわたりますが・・・
近い感覚を持っている、というのはかなり無意識的な領域です。
非言語的、と言ってもいいでしょう。
しかし、それらを媒介するのは言葉です。
微妙なニュアンスを持った感覚を、言葉できめ細かく伝えることができれば、それは本当にあなただけの持つ「味」を際立たせ、あなたのかもし出す世界観を深めていくことに直結しているのです。
五感で伝えるためのキーワード集(例)
それぞれの感覚でもって、伝えられるキーワードを取り揃えていきましょう。
ここに挙げるのはほんの一例になります。
日々、触れる文章、自分の文章で、こういった五感に関連するキーワードを意識して、自分のものにしていって下さい。
・視覚的優位
見える、色彩、鮮やか、まばたきする、眩しい、キラキラ、直視する、余所見できない、瞠目に値する、目の当たりにする、目を凝らす、つるつるしている、光り輝く、鮮烈、彩り豊か、明るい、ビビッド、目に見えなくとも、めくるめく、まばゆい、照らされた
多くの人が最も頼りにしているのが、視覚です。
目で見ること、動作やその対象に対してのキーワードを取り入れていくことで、文章を視覚的に彩ることができます。
特に目で見て楽しむもの、絵画などがその最たるものですが、情景や光そのものなど、その対象は多岐にわたります。
明るさと暗さ(天気など)は、映像作品などでもよく定石として使われる、心理描写の暗喩ですから、
これをうまく取り入れることで、心情などを直接描写するよりも効果的に、その場面を演出できたりします。
特に人生ストーリーを語る上では、闇の部分と光の部分をどれだけ際立たせるかというのはポイントの一つですので、
類語辞典などで言葉を集めてみても、とても面白いと思います。
・聴覚的優位
聞こえる、響く、ハーモニー、耳を澄ます、耳を傾ける、聞き取る、心音、奏でる、シンフォニー、リズム、メロディ、ビート、歌う、音楽、楽曲、合唱する、静けさ、静寂、静謐、物音、重低音、リリック、声、BGM、グルーヴ、バイブス
耳に入る情報というのは、視覚情報よりもやや無意識的です。
意識せずとも聞こえてくるものも多いだけに、無意識により働きかけるアプローチが取りやすいのが特徴ですね。
人の声や音楽などなど、よりメッセージ性の高いキーワードが多いですね。
複数の音を組み合わせるハーモニーは、人と人が手を取り合う象徴です。
誰かと共に何かを行う、という、人の根源的な欲求に響きやすい感覚でしょう。
また、音楽はダンスと切っても切れない関係です。
自然に体が動き出してしまうダンスは、楽しく行動するために目指したい理想の姿ですね。
・嗅覚的優位
香り、かぐわしい、香ばしい、アロマ、芳醇な、濃密な、胸いっぱいに吸い込む、爽やかな、パフューム、いい匂い、鼻腔をくすぐる、フレグランス、フレッシュ、ノート、落ち着いた匂い、セクシーな、柔らかな香り、フローラル、花のような
聴覚よりも更に原始的な感覚なのが嗅覚です。
一番、無意識に(右脳的に)訴えかけるのに適した表現です。
それだけにやや感覚的であり、多様な解釈ができるぶん、ちょっと扱いが難しいのですが、
ミステリアスでフェミニンな、謎めいた空気感を演出するのにはもってこいです。
ただし、マイナス方面を嗅覚的に表現すると、どうしても生理的な嫌悪(耐えられないような)に
なってしまいがちなので、慣れないうちはプラス方面に限定したほうが無難です。
・味覚的優位
味わう、滴る、舌、ジューシー、喉越し、歯ごたえ、食感、甘み、濃厚な、とろりとした、よだれが出るような、みずみずしい、弾けるような、スパイシー、甘美な、妙味、おいしい、滋味あふれる、あと引くような、病みつきになるような
世のグルメリポーターを見ていれば分かりますが、
実にいろいろな表現方法があり、他の感覚とも密接に関わりを持つのが味覚です。
その傾向としては、やや大衆的で刺激的。
一瞬で人の関心をグッと掴むには、非常に適していると思います。
でも、表現のしようによっては、ちょっとアヤシささえ漂うような、ディープでセクシーな文章まで可能になるのが、この感覚の魅力です。
グルメ漫画などを見ていても、実に多彩な表現があって面白いです。
・触覚的優位
重みがある、手触り感、刺さる、温かい、拍手する、ずしりと来る、タッチする、きめ細かい、なめらか、シルクのような、厚みを感じる、掴む、包み込まれるような、抱きしめる、握手、触れ合う、近づく、コンタクト、把握する、腑に落ちる、手を合わせる
味覚に比べると、やや繊細でナイーブです。
微妙な距離感を示すこれらのキーワードは、個人的に日本人の感覚には非常に合っているのではと感じています。
体温を感じるような触覚を意識した表現を行うことで、近づく心の距離感を適切に語ることができます。
ただこれは日本人の感覚とまったく同じで、グイグイ、ベタベタ来られると引いてしまう人も多いので、
奥ゆかしさと礼儀を忘れないように、しっとりと距離感を意識して使用するといいと思います。
言葉に親しんで腕を磨こう
すべてに共通することですが、
自由に楽しみながら、言葉の海を回遊するかのように、その意味あいを味わう
という感覚をつかめるように、日々練習しましょうね。
いくつかの表現を目の前にして、どちらがよりその場に適しているかを悩んだり、
文章を自分の中に浸透させる時に、その響きや余韻に耳を澄ませたり。
毎日、触れる言葉達に、もっと親しみを持って仲良くしていくことで、リーディング(読む力)もライティングも、どんどん洗練されていきます。
あなたの感覚を大切に。
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