神話の法則とは?ビジネスにも活かせる「本能をRockする」ストーリーテリングの法則

21/09/2019

こんにちは、tikoです。

今回は「神話の法則」について解説をしていきたいと思います。

神話の法則とは、クリストファー・ボグラーによるストーリーテリングの手法を示した著作で、この本のタイトルがそのまま、ストーリー作成時における公式のように扱われています。

スティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカスなどのハリウッド映画監督もこれを踏襲し、世界的ヒット作を立て続けに制作したのは有名な話です。

世界中の歴史のなかで商業的に最大規模のハリウッドで、今もなお現実に人々を魅せつづける「法則」・・・

「神話の法則」といっても、ギリシャ神話や古事記のように、古来の神々が出てくる「神話」に限った話ではなく、それは

人が「本能的に」引き込まれずにはいられない物語

が、備えている型のことです。

塩をなめて「しょっぱい」、砂糖をなめて「甘い」と感じるのと全く同じように、

聞いた人に共感を抱かせ感動をおこさせるストーリー

というものが存在します。

古今東西の口語伝承、劇、映画、小説、漫画、ゲームなど、人を引きつける物語に共通して備わっているもの。

とても興味深いですよね。

この記事を読み終えたとき、あなたには一つ新しい視点が備わっていることでしょう。

物語を分析し、体系的に分割して捉えるという視点。

これによって、取り込む物語をより楽しむことができるようになるばかりか、そこからエッセンスを自由自在に抽出して、自分の味方にしていくことさえ可能となるのです。

あとひとつ付け加えるならば、この記事を読み進める前に、何か一つあなたの大好きな物語(映画でも、ゲームでも、漫画でも、何でも良いです)をひとつ、思い出しておいてください。

具体的な実例をもとに追っていくと、理解がさらに深まり、そのまま自分に適用してすぐにでも物語を作ってみたくなるでしょう。

ストーリーテリングは誰かの共感や感動を呼び起こし、ファンとなってもらう手法ですので、

・共感を引き起こし、成約率を高めるステップメールの作成

・グイグイと読ませ、味方を引き寄せる自己紹介ページの作成

などなど、応用範囲は文章作成全般に及び、ぜひとも押さえておきたい考え方です。

ゆっくりと噛みしめるように、また楽しんで読んでいっていただければと思います。

神話の法則の大項目、三幕構成

まず、物語の全体の大きさを3分割する、三幕構成というものからご説明します。

神話の法則では、この3幕の大構成を、さらに細かく分割し12個の小幕に体系化しています。

ちょっと多くて大変なので、最初はこの3幕の大きな構成を意識して、物語を分析するところから始めてみても良いでしょう。

これはスリーアクトとも言われる、ハリウッド式の脚本術で、

第一幕:セットアップ(設定)

第二幕:ディベロップメント(展開)

第三幕:レゾリューション(解決)

の3つから成り立っていて、大きさの比率は1:2:1となります。

そして、それぞれの幕間はターニング・ポイントでつながっている。

2時間の尺の映画であれば、最初の30分がセットアップ、続く1時間が(後述で前半後半に分かれます)ディベロップメント、最後の30分がレゾリューション、となります。

驚くべきことに、数多くのヒット映画作品はこれを忠実に守られて作られています。

最終的には、このバランスまで意識ができるようになると良いですね。

さて、それぞれの幕でのテーマについてですが、

第一幕:疑問

第二幕:対立

第三幕:解答

となっています。

第一幕での疑問はセントラル・クエスチョンとも呼ばれ、その物語が最終的にどこに行き着くのか?を、疑問の形で提示します。

物語は極度に単純化した言い方をすれば、

足りないものが補完されるまで

と見なすこともできます。

その「足りないもの」とは、一体何なのか。

この物語を通して、人が最も痛感するのは何なのか、という疑問の部分がここなのです。

第二幕では、セントラル・クエスチョンに対する葛藤や試練などが描かれます。

まだここでは答えものは手に入りません。

それらしいものが手に入って、後でそれがニセモノとわかる場合もありますが・・・笑

ここでは敵や自分自身への対立がテーマになります。

第三幕では、最終的な解答が得られます。

紆余曲折を経て、度重なる戦いのなかで着実に近づいてきた答えが、ようやくここでその全貌を表すのです。

まずはこの3つの大きな流れを掴んでくださいね。

ここからさらに12個の要素に分かれますよ!

長くなってきたので、適宜休憩を入れてくださいね

神話の法則の12項目

三幕構成を更に細かく分割し、12のステージに分けたのが神話の法則のメインコンテンツです。

順番に書くと、

第一幕:セットアップ(設定)

1.日常の世界

2.冒険へのいざない

3.冒険の拒絶

4.賢者との出会い

5.第一の問題の突破

第二幕:ディベロップメント(展開)

6.試練と仲間と敵対者

7.最も危険な場所への接近

8.最大の試練

9.報酬

第三幕:レゾリューション(解決)

10.帰路

11.復活

12.宝との帰還

・・・となります。

ひとつひとつ、順番に解説していきますね。

1.日常の世界

第一幕:セットアップの最初は、日常の世界です。

物語がどういった世界観で進行していくのか、主人公は誰で、近くにいる人物はどういう人々なのか、といった設定や背景の部分が語られます。

聞き手に最初の共感を持ってもらうための導入部分ですね。

主人公がどんな考えを持っているのかは、ここでざっくりと示されます。

そしてここが大事なポイントですが、物語の根幹を担う「疑問」セントラル・クエスチョンについての情報も徐々に明らかにされていきます。

それは主人公が日常の中で感じ取る違和感・・・のような感じで、これから始まる冒険に対しての主人公の動機(脚本上、触媒カタリストと呼んだりもします)を浮き彫りにしていきます。

2.冒険へのいざない

次は、そんな日常からの最初の離脱です。

物語はいつも突然に・・・ではありませんが、唐突に日常「以外」のものが現れ、主人公をそこから連れ出そうとします。

この時点では主人公はノリノリで異世界に飛び込むわけではなく、人間らしい戸惑いの感情を覚えます。

突然現れた新しい世界に、戸惑いと、少しの期待感を覚えるわけです。

そんな主人公の心情に、物語を見る人は自分を重ねて共感の階段をまた一歩登っていきます。

3.冒険の拒絶

そして、やはりというべきかこの誘いは一度は拒絶されます。

迷いながらも、期待を感じながらも主人公は、一度は新しい世界を拒むのです。

このまま日常に帰っても、自分の抱く違和感の答えはないと無意識に理解していながら・・

作品によっては、ここが否応なしに連れ込まれた新世界への拒絶反応であったり、劇的に変化した自分自身への恐怖や嫌悪だったりもします。

人は本能的に変化を受け入れにくい性質を持っていますので・・・

このステージでも、あくまでも同じ人間としての主人公への共感は高まっていくのです。

4.賢者との出会い

そこから、賢者と出会い、主人公は第一の覚醒を迎えることになります。

そこにはあまりにも違うと思っていた異世界と、自分を結びつけるための賢者の存在があり、

この賢者は案内人だったり書物などの「モノ」であったりしますが、主人公を勇気づけ導いてくれる役割を持っています。

ここで主人公は、精神的に元の日常の世界とは決別する決心を固めるのです。

そして次のステージの、第一の問題へと果敢に立ち向かっていきます。

5.第一の問題の突破

見事、第一の問題を突破した主人公は、ここで名実ともに異世界へと足を踏み入れるのです。

ここまでが第一幕であり、映画でいうと最初の30分間で、テンポよく物語が進み、自然と主人公との心の距離は近づいています。

これからどんな冒険が待っているのか?

どんな試練が待っているのだろうか?

言うなれば第一幕は、本格的にストーリーを語り始めるための土台作り(セットアップ)をしている部分なのです。

ここまでで示されるセントラル・クエスチョンには、依然として答えが出ていない状態ですが、ひとまずは第一の問題を突破でき、ホッとしている部分ですね。

同様に動機(カタリスト)に関しても、どうして主人公が(後戻りせずに)先に進まなくてはならないのかを示してあると、より没頭させる物語となります。

そして幕間は第一のターニング・ポイント(多くの場合はより強大な敵や課題の出現)により、まさに劇的に第二幕へとつながってゆくのです。

6.試練と仲間と敵対者

第二幕:ディベロップメントの最初のステージは、新世界での試練や仲間、敵対者の提示です。

ここからは更に深く、新しい世界での課題にぶつかっていく主人公の姿が描かれます。

ジャンプ風に言うならば、努力・友情パート。笑

いくつかの試練を通して、主人公は成長していきます。

7.最も危険な場所への接近

そしてここまでの物語の中で、最も危険とされる場所に近づいていきます。

それはこれまでとは一線を画す恐ろしげな場所で、命の保証もないような場所ですが、

成長した主人公はそこに勇気を持って立ち向かってゆくことができる。

それはセントラル・クエスチョンの解を求めるには避けては通れない場所であり、

主人公が絶対に乗り越えなくてはならない場所だからです。

ストーリーが終局に向かっていくことを予感させ、ボルテージが高まっていくポイントです。

8.最大の試練

そしてお約束というべきか、魔王城の深奥にはやっぱり魔王が待ち構えています。

主人公は命の危険にさらされ、場合によっては生死不明の状況にまで追い込まれますが、

賢者からの教えや、これまでの試練から培ったものによって、そこから奇跡の大逆転劇を演じます。

ボルテージは最高潮に達し、最大の敵を打破したことによるカタルシスによって物語はピークを迎えます。

9.報酬

第二幕の最後にふさわしく、最大の試練を突破した主人公は報酬を手に入れます。

それは栄誉であったり、恋人であったり、貴重なアイテムであったり、一見してわかりやすいモノとして描かれることが多いです。

物語はここで第二のターニング・ポイントを迎え、新世界から元いた世界に戻っていくための道筋が示されます。

このまま、平穏に物語が終わればいいという、ある種の「祈り」を胸に抱えたまま・・

10.帰路

第3幕では、報酬を持ち帰る帰路の中で、最後の敵が主人公を阻みます。

それは最大の試練の再来であったり、裏切りであったり、自分自身との戦いであったりします。

その中で、主人公は最大の試練以上の、かつてない危機に陥ることになってしまいます。

主人公の手からはこれまでで一番多くのもの(友、恋人、宝など)がこぼれ落ちますが、それでもなお屈せず戦うのです。

徹底的に追い詰められた主人公は、ここで一度命までも失ってしまうのです。

11.復活

そして最後のグランドフィナーレを演出するのは、何もかもを失った主人公が、

すべてを手放した結果、それ以上の何かを得るというこの復活のステージです。

これは単純に失ったものが戻ってくるという場合もありますが、

9の報酬と対比しての、何らかの無形の価値であることが多いです。

それこそが、物語の作者が物語を通して聞き手に手渡したかったモノであり、セントラル・クエスチョンの解でもあるわけですね。

12.宝との帰還

最後は余韻のステージ、宝との帰還になります。

解を持ち帰り、自分が元いた日常の世界へと着陸する部分になります。

そこに描かれるのは、主人公の決定的な成長であり、最初に欠けていた部分が補完されていることに気づくシーンでもあります。

これによって、日常の世界は新しい展開を迎えることを予感させ、物語は幕を閉じます。

ここでの予感は希望そのものであり、深い余韻を持って物語の聞き手を元の世界に戻していくわけです。

そして元の世界に変革を予感しているのは、主人公も聞き手も同じ。

そこから新しいアクションに繋げてもらうことで、今度は自分が、次のストーリーを描き出すきっかけを作れるのです。

以上が、神話の法則のフレームワークになります。

徐々に波を大きくしていくようなイメージ、伝わりましたでしょうか?

ちょっと長いので、何度も読み返して理解を深め、いろいろな物語にあてはめて自分のものにしていってくださいね。

使いこなせるようになってくると楽しいですよ!