読み聞かせたいおすすめ絵本「よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし」。想像力は、無窮だ。

こんにちは、tikoです。
今回ご紹介するのは、絵本「よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし」です。
お気に入りの絵本作家さんがオススメしていた絵本で、現実にはありえない展開となんともいえない脱力した世界観が非常にステキな作品です。
この絵本が発表されたのは2007年なのですが、タイトルだけを見ても、最近の長いタイトルやコピーを全面に押し出した表紙で瞬間的にフックをかけるテクニックが使われていて、時代を先取りしていた感があります。
でも、ここだけじゃない、随所にセンスを感じずにはいられない内容なんですよ、この絵本。
あなたも、あなたの子どもさんも、きっと夢中になって読み進めてしまい、そしてまた読みたくなる絵本です。早速、ゆるっとご紹介していきたいと思います。
怒涛の「ありえない」展開
物語は唐突に始まります。
表紙をめくると、いきなり話の冒頭が。よしおくんがチョコレートパンと牛乳を朝ごはんに食べているシーンです。
「しまった」
ついうっかり、飲んでいた牛乳瓶を倒してしまったよしおくん。そうしたらなんと、瓶からこぼれた牛乳はどんどん勢いを増していき、みるみるうちに部屋いっぱいに広がって・・・
部屋どころか、町全体を覆い尽くしてしまうのです。
・・・ありえない!
ファーストインプレッションは、まさにこの一言。ありえない・・読んでいて思わず、口をついて出てきてしまいそうになります。
湖のようになった町には、不思議な白い魚、ミルクフィッシュが泳ぎ回っていて、なぜか見慣れない「ぎゅうにゅう こぼすな!」という立て看板が立っています。
それからなんと船までやってくる始末。怒涛のシュール展開に、どうなっているんだ・・と、親子でワクワクしながら読み進められることでしょう。
全体に漂う脱力感とスタイリッシュ感
ストーリーはもとより、絵柄もとても脱力感が溢れているものとなっていて、なんともいえない世界観が構築されているのですが、絵本の構成としてもちょっと面白いものになっています。
表紙をめくるといきなり始まり、物語に加速度がついてきたところでタイトルコールの見開きが入ってくるようになっていて、最後のページでは語り終わるのと作者情報が同じ見開きでシームレスに繋がっています。
これが、劇的。まるで何かの映画を見ているような気分にさせてくれます。狙ってやっているのでしょうが、とてもおもしろい試みです。
最近のアニメなどでも、こういった構成を見ることは多いですよね。
また、ページの切り替わりの部分でキャラクターの立ち絵を境界線として使っていたり、船が去っていく先と、牛乳が引いていく先を同じ視線の先に揃えていたりして、漫画的に見ても非常に楽しい。
細かいところに注目していくと、なんともスタイリッシュなんです。脱力系なのに。
このあたりは是非、あなたにも手にとって体感していただきたいポイントですね。
また、なぜか朝ごはんを食べている時間が朝6時。よしおくん、ちょっと早起き過ぎやしませんかね。
大好きなチョコレートパンが食べたくて、誰も起き出していない6時にこっそり、一人で食べていたから、こんなことになってしまったのかな?・・・なんて想像するのも楽しいです。
絵本を子供と一緒に読んでいると、ものすごい集中力と想像力をはたらかせて、こちらが語る物語の中に没入してくれているのを、間近に見ることができます。
こちらが思いもよらない方向で、とんでもない発想を持っていたり。そんな姿を見ていると、純粋なストーリーの楽しさに段々、引き込まれていく自分に気がつくことがあります。
彼らは楽しむことにかけては、私達大人がどうあがいても敵わない力を持っているので、ある意味、師匠なんですよね。
でも、私達もいつかは子どもだったわけですから、自分の中で眠っている「子ども性」を揺り起こして、目覚めさせていくことで、きっともっと人生を楽しむことができるようになります。
想像力がものすごく刺激される絵本なので、ぜひ、お子さんと一緒に読んでみて下さいね。
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