中田敦彦「僕たちはどう伝えるか」レビュー。地獄とは、伝わらないこと。

こんにちは、tikoです。
今回は中田敦彦さんの「僕たちはどう伝えるか 人生を成功させるプレゼンの力」のブックレビューをしていきたいと思います。
この本のタイトルはプレゼンとなってはいますが、その実
対面でのコミュニケーションによって、いかに「マジックのように」人を魅了するか?
に特化した本だと感じました。
もちろんこの本を読むことで、プレゼンと聞いて多くの人が想像するであろう場面に対し、パフォーマンスを劇的に高めてくれることは間違いないでしょう。
しかし、それはあくまでスポットライトの当たる一部分の話。
本質は日常会話や雑談レベルの何気ない会話でさえ、聞く人をぐいぐいと魅了し虜にしてしまう、
まさに人生ごと成功に導く「コミュニケーション」に大切な要素が、これでもかと詰め込まれた内容です。
なので、彼にとってはプレゼンはコミュニケーションそのものなのですが、プレゼンというある意味限定的なタイトリングはいかにも勿体ない・・・
ついつい、そう感じてしまわずにはいられないほどに、一人でも多くの方に手にとって読んでもらいたい、熱き良書です。
この本の見所を、少しだけわたしの言葉でまとめましたので、
(内容がすでに、まとめる必要がないくらいにコンパクトですが)
プレゼンなんて必要ないと思っている方にこそ、この本の魅力が伝わってくれるといいなと思います。
極限までコンパクトに仕上げられた内容
「しくじり先生」や「アメトーーク」などで、中田敦彦さんのプレゼンテーションを見たことがある方は分かると思うのですが、
彼の話はとても、シンプルでスピーディです。
この本は、まさに
わかりやすく、
速く、
まるで彼の話を聞いているかのように、プレゼンライクに話が進んでいきます。
全編を読破するのに、30分かからないほど。
ページ数がやけに多いのは、文字も行間も大きめに、余白がたくさん取られているから。
本としての「読みやすさ」まで、意識を通して製本されているわけです。
作中でも書いている通り、「長くて」「難しい」といった理由で、読者の心が離れていく事態を避ける工夫がされています。
彼は伝わらないことを「地獄」と表現していますが・・・
そんなメタファーでさえ、小学生でも意味が強く伝わるようなワードチョイスをしていて、
「言葉」に対しての感性は、鋭い刀のように磨き上げられていることがわかります。
単刀直入にズバズバと持論を展開していくその様子は、
さながら熟練の役者たちが演じる、殺陣を見ているかのような小気味よさです。
プレゼンはコミュニケーションと同じ
「伝えること」を考え続けることは、
「伝えられること」を考えること、つまり聞き手のことを考えることと同義です。
自然、プレゼンは一方向のものではなく、話し手と聞き手が共同で作り上げる双方向のもの、つまりコミュニケーションと同じであるということになります。
彼が提唱している考え方を一部紹介すると、
・資料を見せず、自分を見てもらうこと
・プレゼンの流れを盛り上げる「やさしい誘導尋問」をしていくこと
・手の内を開示し、相手にとってのメリットを伝え、信頼関係を結ぶこと
などなど、
「相手ありき」
という前提があります。
だからこそ、彼の言葉は飛躍するということがありません。
押し引きも、熱量も、乖離することなくピッタリと、すぐ近くから伝えられる。
これも作中で出てきますが、言葉には届く距離がある、物理的な「モノ」なのです。
ならば、近ければ近いほど届きやすいのは道理ですよね。
「何を話すか」ではなく、「どうやって相手との心の距離を縮めるか」を考えるのは、
当たり前のようでいてなかなか難しい技術ですが、それを実現する方法がたくさん書かれています。
伝えたいのに伝わらない・・くすぶりを、爆発へ。
わたしは対面でも文章でも、相手に伝わるために最も大切にしたいものは、
なんとかして伝えようという気持ち
だと考えています。
これさえあれば、伝え方の上手い下手に関わらず
迫力や熱量の宿るものになるのは間違いないからです。
そして、伝えたいのに伝わらない、そんなもどかしさを感じている人に、
この本に書いてあるほんの少しの、テクニックですらない心がけひとつの違いで
爆発的な力を与えてくれる可能性があります。
そしてそれは対面ではもちろん、この記事のように文章上で魅せたいときにも高い威力を発揮します。
貪欲に、人により大きな価値を提供できるように、力を磨いていきましょうね。
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