「ぼくのニセモノをつくるには」ブランディング・ヒストリーは紡がれ続ける

14/01/2019

こんにちは、tikoです。

ヨシタケシンスケさんの「ぼくのニセモノをつくるには」という絵本を読みました。

この作品だけではないんですが、ヨシタケシンスケさんの絵本はどこかありきたりでない感性を持って描かれていて、読んでいくとその独特のシュールさと可笑しみに引き込まれていきます。

ひとつのキーワードで言い換えると「内省」に集約されると思っていて、そのコンパクトな世界観と、思考に重きをおいた柔軟な感覚にはとてもシンパシーを感じており、私の目指すものと親和性が高いと考えています。

私の言葉でいけば、「求めるものはいつだって自分の中にある」ということ。

本作はそのテーマと特に共鳴する部分が多く、子供に読み聞かせるだけでなく自分も考えながら読みたい絵本のひとつですので、その内容、魅力を私なりにご紹介していきたいと思います。

あらすじ

主人公のケンタくんは、お母さんに「やりたくないこと」ばかりを言いつけられて嫌になってしまいます。

そこで思いついたのが、自分のニセモノをつくるという作戦。

さっそくケンタくんは貯金をはたいて、一番安いロボットを買います。そして、ロボットとニセモノ作戦の打ち合わせをしますが、意外にもロボットはしつこくて、なかなか納得してもらえません。

思いもよらずケンタくんに突きつけられた、「ケンタくんらしさ」とは何なのか・・?

自分らしさを考え、伝えるために頭を悩ますストーリー

ケンタくんにとってロボットは、むずかしい質問を繰り返ししてきて頭を悩ませてくる、ちょっとめんどくさい相手です。

さっさとニセモノになって、僕の代わりにいろいろなことをやってほしいのに・・・

でも、絵本を読んでいる私の目には、ロボットはよほど丁寧に、抽象的な質問も答えを出しやすいように工夫しながら、やさしく聞き取りをしている優秀なコンサルタントのように映りました。

あなたらしさ、とは何か?なんて、どう聞いたらいいのかもパッとわからないような、哲学的な質問です。目の前にいる人に対して、まずどんな質問を投げかければ、効果的にその人の言葉、その人らしさを引き出せるのか?

「『ぼくは○○』って感じで、いっこずついってみましょうか。」

ロボットの問いはこんな形でした。

それに対してケンタくんは、うんうんと難しい顔をしながら、

・ぼくは「名前と家族がある」

・ぼくは「外から見るとこんな感じ」

・ぼくは「できることとできないことがある」

・・・

いろいろな切り口で答えていきます。

このあたりはヨシタケ節が炸裂していて、言うなら「子供にブレーンストーミング(無作為な課題列挙)」をさせるとどうなるのか、みたいな感じです。

可愛げのある内容もあれば、小憎らしいものもあるし、ほとんど意味の無いようなこともあるし、論理的でないものもありますが、それは子供らしい無邪気なアウトプットで非常にそれらしく、愛らしいものになっています。

その中にはたまに、大人でもドキッとしてしまうようなものもあり、この絵本を眺めていると子供と接している時のあの感覚に近い、リアルなものを感じます。

そして同時に、「自分はどうなんだろう?」という疑問が自然に、頭の中に湧いてきます。日々の記事書きにおいてはあまりそこまで深く考えたりはしませんが、大きく長い目で見た場合、連続的な作業の中で否応なく、これを自分に問い続けるのが情報発信であると言えます。

少しずつ、自分の感覚を言葉に落とし込み、他の人でもわかるような形にしていく。

今こうしてパソコンに向き合って文章を打ち込んでいるとき、私はロボットに質問をされているような気がするのです。あなたはどういう考えなのか?」と。

作中ではこんなシーンがあります。

つまり ぼくのうちがわには ぼくだけしか はいれない

ぼくだけの せかいが もうひとつ あるってことだ。

これって スゴイことだ。

ケンタくんはロボットからの質問により、内省を通して自分の中の世界の存在に気づきます。

そうです、これってスゴイことなんですよ!

自分の内部の観察と、その伝え方・プロセスも含めて、より魅力的な自分とその理想世界に向かっていく行いが情報発信であって、そのスゴさはやってみて初めて見えてくるのです。

見えてくる世界は常に更新されていき(現在進行形で、私の見える世界も更新されています)、これまでとは全く異なる景色を見ることも可能です。

それは「望むこと」と「ちょっとした行動」を積み重ねることで実現していきますし、そのお手伝いをするのが、私がこのブログを書く目的でもあります。

ブログを書く作業というのは、ケンタくんの行っていることと同じで、自分というものを丁寧に一枚一枚すきとって、ロボット(=情報発信の媒体)に織り込んでいく作業なのです。

その過程で、自分の行きたい方向性も見えてくるし、徐々に形作られるロボットの輪郭を、より自分の理想とする形に近づかせることもでき、それによって本物の自分、本物の世界に変容がもたらされていきます。

これも「ブランディング」という試みのひとつです。

ぜひ、連続したブランディングの先にあるものを見据えて、楽しみながらあなたのブランドを磨いていって、あなただけのユニークな世界をつくっていってください。

それに出会えることを、私もとても楽しみにお待ちしております。