『マネーという名の犬』白くて賢い、でもちょっと辛辣なラブラドールレトリバーのお話

こんにちは、tikoです。
「マネーという名の犬」という本を読みました。
タイトルはちょっと風刺的・・・ですが、意味は言葉通り。「マネー」と名付けられたラブラドールレトリーバーと、その飼い主である12歳の女の子、キーラとの物語です。
この本が最初に出版されたのは2000年。もう20年近く前になります。しかし、実に23ヶ国語に翻訳され、全世界で400万人以上に読まれています。
キャッチコピーは『12歳からの「お金」入門』。
読み終わった今、「娘が大きくなってきたら、これを読ませて感想を訊きたいなぁ・・・」と思っています。それくらいわかりやすく、口当たりのやさしい、お金についての教育書。
ですが、もちろん大人のあなたでも楽しめますし、私と同じように、読むことで新しい自分に出会えるでしょう。
ノウハウというよりは、お金に対するブロック(常識)を外すことに主眼がおかれた、フワッとする内容です。それだけに私の考える本質に近い、素敵な本ですよ。
うまく魅力が伝えられるように、レビューしていきますね。
あらすじ
12歳のキーラは、どこにでもいる普通の女の子。
両親は庭付きの家を買いましたが、かなり高くついてしまったようで、ローンの心配をしています。
キーラの今月のお小遣いも、CDを買えばほとんどなくなってしまいます・・・
「キーラ、ほんとうにそのCDを買っていいか、まずよく考えなくちゃ」
声の主は、なんとキーラの飼い犬であったマネーが発したものでした。
言葉を話せるラブラドール犬、マネー。偶然の出会いからキーラの家にきたこの犬との対話を通して、キーラは両親や自分を悩ます「お金」について、生まれてはじめて真剣に考え始めます・・・
見どころ
上に書いたような感じで、「お金」というメインテーマを主軸として、ストーリーラインが展開されていきます。物語は、波乱万丈というより、順風満帆ですね。
それなりの緩急はありますが、あっと驚く意外性や、手に汗握る緊張感という感じではなかったです(もしかしたら、私が大人になってしまったからかも知れません)。
でも、子供にとっては、テーマがお金であるだけに、リアリティと重みをことさら感じやすいものになっていると思います。使われている言葉も、簡単なものを選んで書かれているため、サクサク読めます。
ですが、書かれた言葉達はそれだけに、シンプルに刺さってくるものばかり。
登場するキャラクターもアイコン的でわかりやすく、自分の人生を振り返り、過去と重ねて対話するのにはもってこいです。
心に響いたマネー(犬)の言葉達
ここでは私の心に響いた・・・というよりもグサッと刺さった言葉についてご紹介します。
大抵の大人は、自分が知らないもの、備わっていないもの、自分にはできないことに夢中になって、人生を終えてしまう。
色々と考えさせられる一文です。
現実に、ほとんどの大人達、いや子供達ですらも、自分のできないことに自分の時間を費やしています。皆、そうやって自分を変革するために、歯を食いしばって、大きなエネルギーを日々、支払っています。
わたし自身、備わっていないもののために、できないことをできるようにするために、多大な労力と時間を限りなく支払ってきました。
自己変革をすること、自分の領域を広げることそれ自体は、まったく無駄でなく、むしろ尊いことです。重要なのはそれが、純粋なる自分の願いや目的から発したものであるか?
これを知りたい、こうありたい、これができるようになりたい・・・
「自分が知っていること、備わっているもの、自分にできること」のために、です。すなわち、自分の得意なことを効果的に、なおかつ楽しく実行できる、という状態です。
こういう状態の時、その人は「その人らしく」輝けるのではないでしょうか。そして、それを目指すべきであると、わたしは考えます。
時間とは命そのもの。有限である命は、それを効果的に使うために工夫を凝らさなければなりません。
大抵の人は、自分が欲しい物が何か?なんて正確にわかっていない。わかっているのは、もっと欲しいということだけさ。
お金の不安というのは、こういうところから来ると思います。将来、お金が足りなくなるのではないか・・・あれも欲しい、これも欲しい・・・
もっと欲しいということはよく聞こえてきますが、何が欲しいかを明確に、優先順位をつけて考えているでしょうか。また、それにかかるコストは?ちょっと考えてみてください。
一番欲しいものは何で、いくらあれば実現可能で・・・2番目はこれで、3番目はこれで・・・
作中でも、キーラが「10の願い事」を書き出し、それを3つに絞るという作業をしています。こうすることで、自分の「欲しい」を分析、重み付けしているのですね。
さらにキーラは、それをより明確にイメージするという作業をやっています。カリフォルニアへ行くためにパンフレットを取り寄せる、ノートパソコンが欲しいから貯金箱にその写真を貼る・・・
現実に「視覚化」することで、よりリアルな目標としてイメージするということですね。
願いは純粋なもので、それは人間らしい自然な欲求です。あなたも、わたしも、誰しもが願いを持っていて、心から発せられる炎のようなものです。
この熱によって、人間はエネルギッシュに活動してゆけるのです。
それを分析して制御するのが頭です。CPUはいつも冷たい氷のように、クールに冴え渡っていなくてはなりません。
炎を放置しておけば、際限なく延焼して自らを傷めたり、逆に不完全燃焼を起こして黒煙を出したり、いつまでもくすぶり続けます。
「お金に不安がある」というのは、この炎に呑まれてしまっている状態のことです。欲求を正しく捉えて、適切に燃やし続けるのが、最適な行動指針のサイクルです。
この正反対の、炎と氷を自分の中に双子のように同居させて、仲良く息を合わせて動いてもらうことが大切です。
「やってみる」じゃなくて「やる」。失敗すると心のどこかで考えていて、そのことを前もって言い訳をしているに過ぎない。やるか、やらないか、だけ。
やってみるという言葉には、確かにそういう意味合いがあります。
20%くらい、疑いの気持ちが含まれていると言えるでしょう。
私たちは言葉を発したその瞬間に、その言葉に支配されているのです。言霊と言ったりもしますね。
80%信じて20%疑っているのと、100%信じているのとでは、言葉そのものにも、その後の行動にも結果にも全て、20%ぶんの差が現れます。
どこまで強くコミット(信奉)できるか。お金であれ時間であれ労力であれ、かけるリスクはバネであり、精神のエネルギーです。
強く自分に、自分の信ずるものに「掛け」られるか。それを考えさせられた一文です。
いかがでしたでしょうか。シンプルなストーリーながら、お金を稼ぐことの本質から、投資やファンドの活用に至るまでを網羅しつつ、マインド的にも得られるものが多い本ですので、気になった方は読んでみて下さい。
上でご紹介したものはすべて、マネー(犬です)が、キーラにぶつけた言葉たちです。なんとなく辛辣で、クールな印象ですが、野生に生きる動物の頭の中を言語化すると、こんな感じになるような気もしますね。
頭の中に、ときどきこんなことをつぶやいてくれる白いラブラドールレトリバーを住まわせたいあなたは、ぜひ。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません