「100ワニ」騒動からあらためて考える、コンテンツ製作者としての「死」というテーマ

こんにちは、tikoです。
twitter発のweb4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」(以後、100ワニ)の炎上騒動が起こっていますね。
わたしも「100ワニ」については、3/19に、50万いいね突破!というニュースを見て知ったので、
「え?明日死ぬの?」
という感じで、流行に乗り遅れた感じがしたのを思い出します・・・笑
結果的には大々的に炎上する騒動となってしまいましたが、今回の騒動で非常に学ぶところが多かったので、
コンテンツ制作側の視点で、「100ワニ」がどうしてここまでヒットしたのか?
「死」という普遍的なテーマを取り扱う上で、「100ワニ」からわたしたちは何を考えるべきなのか?
ということをお話していければと思います。
短いタイトルで興味を惹き、絵柄とのギャップで意外性を出す
「100ワニ」は、その危機感あふれるタイトルと、
それにそぐわないホンワカした絵柄のギャップが非常に印象的で、目に付きやすいですね。
短いフレーズで興味をかきたてられる、面白いコピーだと思います。
ついつい誰かに口コミしたくなるし、絵を見ればその意外性が一瞬で伝わります。
人は誰かに、意外性のある話をしたがるものです。
物語の終着地点がタイトルで示されているのですから、倒叙ミステリーのような、逆算型のストーリー展開です。
最初に結論ありきで、そのあとに過程が示されるというわけです。
古畑任三郎形式ですね。
SNSの特性にマッチした「リアルタイム性」と「ライブ感」
その印象的なタイトルや、視覚的に一瞬で理解できる4コマ漫画という形式で
スピーディに、強力に人の関心をつかみ(かつ、どの部分を最初に見たとしても、楽しめる)
すぐにでもその流れをフォローして、皆と一体感が味わえます。
ここらへんもSNSの性質が効果的にはたらいているし、情報があふれる今の時代の流れにうまくマッチしているなと。
最初に物語の終了地点を設定して、毎日4コマ漫画としてアップし、リアルタイム性を持たせ、
フォロワー達の関心を否応なしに、最初に設定した「未来のたった一点」に集約させていく。
死へのカウントダウン・・
コンテンツとしては捨て身の戦術ですが、これがうまく機能して緊張感はどんどん高まっていったようです。
この関心の流れが誰の目にも見えやすかったのも、フォロワーが雪だるま式に増えた一因かもしれません。
お祭りに参加しているかのような感覚ですね。
毎回の4コマの最下部に無情に添えられる、
「死まで〇〇日」
というのも、どうしようもなく殺伐としているのに、
絵柄からはそんなことは全く感じさせないので、考察班なんかも出現していたようですね。
コンテンツ上で「死」というテーマを扱う際の注意点
ただし、テーマとしての「死」は、人の注目を強烈に集める力がある一方で、
(生物であれば避けられない、切実なテーマであると思います)
取り扱い方法を誤ると、とたんに白けてしまう、非常に難しい側面があるように感じます。
感情をかき乱す「死」というテーマ・・・
漫画やアニメ、映画でもそうですが、きちんと死というものになんらかの意味付けができなければ、
物語の中で陳腐化してしまい、カタルシスは得られません。
かき乱された感情に、「行きつく先」をつくること。
そこに着地するまでの「滞空時間」を意識すること。
感情に寄り添うことができなければ、価値を感じてもらうどころか、
そもそもの価値を損なうことにもなってしまいかねない。
それは今回の100ワニ騒動から改めて、わたしたちが学ばなければならないことでしょう。
わたしたちは物語をつくっていく側ですので、
これを良きひとつのケースとして、いっそう精進していきましょう。
最後に・・・
作者のきくちゆうきさんが描こうとした、ふだん意識することもない命の危うさ、
日常や友人の尊さなどは、とても素晴らしいものだと思います。
自分の想いにしたがい、毎日コンテンツをアップし続けた行為に対しては、同じコンテンツ製作者として敬意を評します。
現実に多くの方の心を動かしたからこそ、ここまで炎上したのだとも言えます。
色々なことを学ばせてくれた良質なコンテンツに、感謝の意を述べたいと思います。
ありがとうございました。
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